私の会社の安藤君は、大規模プロジェクトのエンタープライズ・アーキテクトで、日本では15年の経験があります。アメリカの支社の配属になって、約1年、ソフトウェアの開発プロジェクトで苦闘しています。
現在、プロジェクトが開始され、要件定義フェーズを終えようとしています。
今日、私のところにやってきて、「シェリー(プロジェクト・マネージャー)は、要件定義で何を書いたらいいのかわかっていないんです。だからレビューもできないし、要件定義のドキュメントが、きちんと書き終えているのかわからないんです。」と言ってきた。
私:「安藤君さぁ、アメリカのプロジェクト・マネージャーって、いろんなことをこなして、時間通りに終わらせることが仕事で、プロジェクトをマネージすることと、ソフトウェア関連のドキュメントのレビューは、まったく、やる人が違うのがアメリカなんだよ。プロジェクト・マネージメントとソフトウェア開発は、日本のソフトウェア開発の会社だと、一緒くたにされてて、ソフトウェア開発経験者がプロジェクト・マネージャーになるんだけど、アメリカは、プロジェクト・マネージメントの専門家なんだよ。だから、明日にでも、シェリーは転職して、彼女の知識と経験を利用して、建築業界のプロジェクト・マネージャーになれるんだよ。ソフトウェアのことを期待する君が間違っているんだよ。ソフトウェアの要件定義は、通常は、ビジネス・アナリストか、システム・アナリストと言う職種の人が行う仕事なんだよ。」
安藤君:「あっ、そうなんですね。」
私:「そう、安藤君は、日本の本社のやり方に洗脳されちゃってるんだよ。」
と言うことで、自分の仕事じゃないことをやれと言われるシェリー、プロジェクト・マネージャーとして彼女はこれをやるべきだと錯覚している安藤君の両方ともが、ストレスがいっぱいたまってイライラしてしまう状態が、ずーっと続いていました。
これは、日本人にありがちな、大きな誤解です。
日本だと、プロジェクト・マネージャー、ソフトウェア開発、テストなどは、一人でこなせます。
アメリカでは、プログラム・マネージャー(複数プロジェクトをカバーする)、プロジェクト・マネージャー、エンタープライズ・アーキテクト(全社レベルのシステムを設計)、ソリューション・アーキテクト(個別のソリューションの設計)、ソフトウェア開発者、テスター、ビジネス・アナリスト(ビジネスがよくわかって、それを分析する人)/システム・アナリスト(システムがよくわかって、それを分析する人)、SME(サブジェクト・マター・エキスパート、その分野の有識者)などで、チームが構成されます。
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